経営戦略上位概念①-「経営理念」と「企業理念」の違い-

経営戦略を策定する時に、「経営戦略の上位概念」である4つの要素を確認しなければなりません。

4つの要素とは、

1.企業理念

2.コア・コンピタンス

3.事業ドメイン

4.ビジョン(将来像)です。

この4つの要素の「経営戦略の上位概念」を実現するために、3~5年の全社戦略、その下位の事業別戦略あるいは機能別戦略が存在し、必要であると考えると分かりやすいと思います。

 

経営戦略の策定の前に、4つの要素の要諦だけを確認したいと思います。

まず「企業理念」ですが、一般的に「企業理念」と「経営理念」は同義語で使用される場合が多いのですが、厳密にいうと違いがあります。

「経営理念」とは、経営者の経営的信条を表すもので、経営を行う上で大切にする根本的な考え方です。

多くの場合、創業者によって定められた経営観です。

従って創業経営者はどのような価値観に基づいて会社経営するかを示しており、ややもすると社員向けでなく、経営者自身へ向けられます。

関連して社是、社訓などを定めている企業もありますが、ここでは割愛します。
一方、「企業理念」とは、会社が最も大切にする基本的な考え方を意味します。

会社の目的であり、存在意義であり、価値観であり、それを言葉で表現したものです。

これは経営者のみならず、全社員が共有化し、会社における意思決定や行動の基準となるべきものです。

また経営理念と異質なものではなく、経営者の価値観を企業全体の価値観に進化させたものです。

経営理念は経営者の価値観、企業理念は企業全体の価値観と認識すると分かりやすいと思います。

 

エクセレント・カンパニー(超優良企業)と言われる会社は、例外なく経営者から末端社員まで共通の価値観が浸透しており、全社員がその企業理念に基づき行動しています。

言い換えれば、企業理念が浸透していることが、エクセレント・カンパニーたる条件になります。

 

従業員50人から100人未満の中小規模のフードビジネスや小規模事業の飲食店経営会社では、人数の規模が少なく、肥大した組織でもないにもかかわらず、残念なことに理念が浸透しません。

経営理念を定めていない経営者はいないでしょう。

しかし、全体会議の冒頭や朝礼などで唱和される「経営理念」は、お題目で一向に社内に浸透しません。

なぜならば、経営者の価値観は言葉で「経営理念」として表現されているものの、経営者の行動が会社の価値観である「企業理念」と一致しないからです。

経営者の経営の価値観と、それを進化させた会社の価値観、それは全社員の行動基準ととらえれば、「企業理念」の重要性がわかると思います。

創業者が2代目に経営をバトンタッチした時に、これはより鮮明に現実化します。

 

経営戦略上位概念②-「企業理念」の重要性-