明日の経営者-『現代の経営』より-

明日の経営者は、事業の各重要領域の目標が、どの程度達成されたかをはかる適当な尺度を見つけなければならないし、また、事業の将来に有意義な決定とか、その他事業経営全般について正確な意思決定を下すに必要な各種の経営学的「道具」を考案し、用いらなければならない。

 

明日の経営者は、目標を設定して事業を経営する方法に習熟しなければならない。

 

目標を正しく提示する方法は一つしかない。

それは事業の各領域で何が測定せられるべきかを決定するとともに、測定の基準を明確にすることである。

 

目標設定による経営の最大の利点は、管理者がそれぞれ自分の行為を自らコントロールすることが可能になることである。

 

各重要領域において設定される目標は、航空計器のようなものである。

これがあれば未知の世界の上空で濃霧に遭遇しようとも飛び続けることができる。

しかしながら、いかにすぐれた航空用計器が備えられても、もしパイロットが目盛りを解釈する力をもっていなかったらなんにもならない。

事業経営においては、これは将来を予測する能力を意味する。

 

目標は、企業にとって何が正しく、何が望ましいかということを分析し、それを基盤にして設定されねばならないのであって、単に便宜的ないし日和見的に設定されてはならないのである。

 

事業の目標として利益だけを強調することは、幹部たちを誤らせ、ついには事業の存続を危うくすることにもなる。

利益だけを強調すると、幹部たちは往々にして目前の利益のみに意を用いて、事業の将来を無視する。

利益のみを強調することから、最も拙劣な事業経営が生まれてくるのである。

 

『現代の経営』 P.F.ドラッガー著 (ダイヤモンド社)より抜粋引用

 

中小規模のフードビジネスや小規模事業の飲食店経営者も、目標をどうするか、「先行指標」による経営が求められます。

確かに活動の結果は財務成果となって表れますが、ややもするとBSやPLといった過去の経営結果だけを追い求めてしまいます。

人事開発、マーケティング、原価計算など各種の経営学的「道具」を用いて目標を設定し、どうすれば達成できるかにエネルギーをそそがなければなりません。

経営者や一部の幹部の勘所やさじ加減ではなく、事業の各重要領域の目標も「共創」によって設定される必要があります。