『戦略とは何か③-競争・差別化・個性 』
経営学者で一橋大学名誉教授の伊丹敬之先生の『戦略とは何か』の全6回のコラムの第3回目、「競争・差別化・個性」の要約です。
事業戦略とは、ある事業での企業の市場対応行動の基本設計図。
その事業での市場競争に打ち勝つために、顧客にアピールし、競争相手との優位性や違いを作るための設計図としての戦略。
事業戦略の鍵は、2つの勝利を同時に勝ち取ること
1.競争相手との間の比較性での勝利
2.顧客の心を引き寄せるという勝利
競争相手との間には優位性をきちんと作ったけれど、それでも顧客の心はつなぎ留められず、売上は上がらずじまいというケースがあるから。
1)競争戦略=「競争相手に対して優位性を確立する」
その主な手段は、武器の差別化=競争の武での優位性を作り出すこと
①製品差別化
製品やサービスの機能や品質そのもので差を作る
②価格差別化
製品は似ていても、価格に違いを出す
③サービス差別化
製品や価格は似たようなものでも、補助的なサービスで差をつける
④ブランド差別化
顧客の心にブランドを確立すれば、価格が高くても製品は似たようなものでも買ってくれる
2)提供する製品やサービスをまったく個性の異なるものとする戦略
①明らかに個性の違うサービスを提供して高い価格にもかかわらず市場で受け入れられる
例えばスターバックスコーヒー
②微妙な差別化の集積=4つの差別化の武器のすべてで微妙に差をつけて、その集積として個性の違いにまで
持ち込む戦略
例えばトヨタ自動車
つまり『明らかな違い』=「大きな違い」が事業戦略に最大の鍵
1.個々の武器での差別化戦略
2.自社の提供するモノ・サービスの全体性での個性主張戦略