経営戦略上位概念⑤-ビジョン-
経営戦略を策定する時の「経営戦略の上位概念」である4つの要素とは、
1.企業理念
2.コア・コンピタンス
3.事業ドメイン
4.ビジョン(将来像)でした。
最後の4番目は「ビジョン」。
「ビジョン」とは、企業が目指す将来の姿のことです。
将来の期限、それが何年後なのかは定められていないというよりか、現在は定めなくても構いません。
なぜならば、企業を取り巻く外部環境の変化が目まぐるしく激変する今、10年先、30年先、50年先と設定したところで、現実味のない実現性の乏しいものになってしまいます。
中長期経営計画というものが5年~10年後のスパンで企業の目指す姿として語られていましたが、昨今では中期経営計画として3カ年の計画が随時見直される時代です。
従って、多くの企業がビジョンの策定も一旦決めた目標が現実味を帯びないよりも、環境変化に合わせて策定し直すようになっています。
ビジョンは企業が描く将来の姿なので、制約はなくどのような戦略を、どのような表現で示しても構いません。
しかし一般的には、「定性目標」と「定量目的」で表現することが大切です。
定性目標とは、数値化できない目標で、市場におけるポジショニングやイメージなど抽象的です。
定量目標とは、数値化できる目標で、売上高、経常利益率、市場におけるシェア率などが代表的です。
ビジョンは制約はなく、ある程度自由な表現が可能と述べましたが、企業の価値観を伝える「企業理念」と整合性がなければなりません。
さらにコア・コンピタンスや事業ドメインとの整合性も必要になります。
要するに、経営戦略の上位概念の4つの要素
1.企業理念、2.コア・コンピタンス、3.事業ドメイン、4.ビジョン(将来像)は密接な関係性を持ち、表裏一体なので、整合性がなければ経営戦略自体が破綻するということです。
ビジョンの策定時、大まかに目標をカテゴライズすると、
①理想目標・・・理想的な目標
②挑戦目標・・・現状では困難ではあるが努力すれば達成可能な目標
③活動目標・・・現在の活動を継続すれば達成可能な目標
④安全目標・・・不測の事態が発生しても達成可能な目標
⑤死活目標・・・必達(必ず達成)しないと存続が危惧される目標
どの目標を選択するかは、それぞれの企業の考え方次第ですが、挑戦目標(努力目標)をビジョンとして掲げる企業が比較的多いようです。
中小規模のフードビジネスにおいては、ビジョンが不明確で現実味を帯びないケースが多々あります。
あまりにも高すぎる目標設定は社内的にはあきらめモード、社外的には信用失墜につながりかねません。
将来のありたい姿を整合性を持って描くことが肝要です。