「口約束でも契約」-契約と約束の分かれ道とは-
契約とは、2人の人間の意思表示が合致すれば成立します。
「申込み」⇔「承諾」という関係性です。
従って「口約束でも契約」です。
契約の大前提は、『契約自由の原則』があるからです。
ではなぜ契約書を作成するのか?それは後で争いが起きないように証拠として留めておくからです。
「契約」は、成立するための要件を満たしただけではダメで、さらに一定の有効要件を満たした場合に、当事者間にとって効力のある「契約」となります。
➡1.契約の成立要件
①申込みの意思表示と
②承諾の意思表示が合致
➡2.契約の有効要件
①契約内容についての有効要件
②当事者についての有効要件
➡「契約の有効」
契約内容についての有効要件は4つあります。
1)確実性・・・契約内容に具体性があること
2)実現性・・・契約内容に実現性があること
3)適法性・・・契約内容が強行法規に違反していないこと
4)社会的妥当性・・・公序良俗に反しないこと
(公序…公共の秩序、良俗…みんなで守るべき健全な習慣など)
当事者についての有効要件は3つあります。
1)意思能力・・・最低限の判断能力があること
(最低限の判断能力がない人とは具体的には、例えば5歳ぐらいまでの子ども、泥酔者、重度の精神障害者など)
2)行為能力・・・意思能力より高い判断能力があること
3)意思表示・・・相手に希望や欲求を伝えることに、瑕疵(欠陥)がないこと
一方、契約の無効とは、
①冗談や心裡留保(ふざけて)した契約
②仮装売買など相手と通謀(虚偽表示)した契約
③殺人契約や人身売買契約などの公序良俗、社会の利益と道徳に反する契約
④代理権を持たない者が行った契約
⑤「制限能力者」との契約
⑥詐欺(だまされたり)、脅迫(おどされて)した契約
の6つがあります。
⑤に関しては、意思能力の有無にかかわらず、判断能力の不十分な人が不利な取引をしないようにするために民法上、
・未成年(20歳未満の者)
・成年被後見人(判断力がない人)
・被保佐人(判断力が弱い人)
・被補助人(判断力が少し弱い人)と定められています。
尚、⑤⑥の契約は取り消して無効にすることが可能ですが、取消されるまでは有効なので注意が必要です。
ビジネスの世界では日々多くの契約が成立しています。
社内の法務部や人事総務部などの組織や、外部の専門家にきちんとリーガルチェックが行われていれば問題ありませんが、規模の小さい会社では残念ながら後から訴訟となるケースも少なくありません。
いつも契約している相手でその契約書だから、また契約書や覚書を作成する時においても、雛形をダウンロードし、加筆修正すればというケースは少なからずあると思います。
中小規模のフードビジネスでは多岐にわたる契約はあまりありませんが、逆にいつもの契約だからと手を抜かないことが肝要です。
また顧問契約などは、併せて一緒に守秘義務契約を締結することが見えない資産(ノウハウなど)の流出防止につながります。