従業員10人の小規模飲食店でも方向性が見えなくなる

「戦略MAP」とは、1枚の紙に多数の戦略目標を書き出し、それらを因果関係を基に矢印銭で結んで図式化したものです。

提唱する「共創戦略MAP」とは、戦略は合意形成の上に成り立つという視点から、「共に創る」というプロセスに一段とアクセントをおいた独自の概念です。

勿論、そのベースとなるものはバランス・スコアカード(=BSC)です。

 

バランス・スコアカードを7つのステップに分けるならば、

➡ステップ1.ビジョンの策定

➡ステップ2.SWOT分析

➡ステップ3.4つの視点とその戦略目標立て

➡ステップ4.KPI(重要成果指標あるいは重要業績評価指標)の設定

➡ステップ5.現状値と目標値の設定

➡ステップ6.アクションプランとその実行

➡ステップ7.事後評価

という流れになります。

 

ステップ1.2のビジョンの策定とSWOT分析なくして経営戦略は成立せず、またステップ6.7のアクションプランを実行して事後評価をしなければ収益は上がらず、その検証もできません。

バランス・スコアカードの骨格となる部分は、ステップ3の4つの視点とその戦略目標立ての「戦略MAP」の部分と、ステップ4.5のKPI(重要成果指標)の設定と現状値と目標値の設定の「スコアカード」の部分と言えます。

共に創る「戦略MAP」は、バランス・スコアカードの考え方をベースとし、全員の意識を一つにする道具として、経営の考え方を1枚の紙に図として各社独自の「戦略」を分かりやすく伝えるものです。

 

『社長が何を考えているのかわからない』

『社長はマネジメントの徹底とか、問題だらけとか具体性がない』

『前年比120%は当たり前などと、社長は数字のことしか言わない』

これはどこの会社の社員にもよくある不満です。

一方で、経営トップ(社長)側の言い分も同様に、

『自分は今までこうしてきたのに、今の組織の幹部や現場は一向に動いてくれない』

『なぜいつも前年対比が100%に届かないのか』

といった不満を抱いています。

 

しかしこれは経営トップ(社長)に限ったものではなく、部や課や店舗単位でも起きていることです。

経営者(この場合オーナー)と3~4人の個人商店なら問題は少なくても、10人、20人単位の従業員数の組織になると、必ず上長、同僚、部下の間で意識の差が発生します。

人と人が集まった集合体の組織では、意識をそろえる、足並みを合わせるには、人と人との間の「コミュニケーション」を徹底するしかありません。

 

中小規模のフードビジネスにおいては、この人と人との「コミュニケーション」が重要視されます。

なぜなら、飲食業において「お客様の満足のために」という理念は唱えられても、その具体性がなく、いつしか顧客満足と業績の境目が不透明になり矛盾の温床になるからです。

共に創る「戦略MAP」が必要なのは、入口として組織に「経営上」のコミュニケーションが不足しているからです。

 

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※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。