「勘と度胸と頑張ろう」から「戦略志向」に変革せよ

バランス・スコアカードは「戦略MAP」の要素と、「スコアカード」の要素に分けることが出来ました。

4つの視点とその戦略目標立ての「戦略MAP」の部分と、KPI(重要成果指標)の設定と現状値と目標値の設定の「スコアカード」の部分でした。

共に創る「戦略MAP」は、バランス・スコアカードの考え方をベースとし、中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営においても、理解しやすいように「戦略MAP」の部分によりフォーカスし、経営の考え方を1枚の紙に図として「各社独自の戦略」を分かりやすく伝えるものです。

 

そのバランス・スコアカードの研究の先駆者であられる、吉川武男先生は、

「日本企業にこそ、バランス・スコアカードが合う」

「勘と度胸と頑張ろうから、戦略志向に変革せよ」と説かれておられます。

以下に吉川武男先生のお考えを一部抜粋引用させて頂きご紹介したいと思います。

 

日本企業の経営の特徴は、「KDG」すなわち「勘と度胸と頑張ろう」という言葉に象徴されます。

いい物を安く作れば製品が売れる時代がありました。

明確な戦略がなくても、KDGで製品を生産すれば、業績は付いてきました。

しかし、日本経済が曲がり角に差し掛かり、さらに中国を中心とするアジア勢が力を付け、「いい物を安く作る」だけなら日本でなくてもできるようになりました。

ここへ来て、KDGだけではうまくいかなくなりました。

それに代わる、明確なビジョンと戦略に基づく合理的な経営が必要になりました。

 

バランス・スコアカードの提唱者であるロバート・キャプラン教授とデビット・ノートン氏は、米国企業の経営のどこが悪いかを探るため、事例研究を重ねました。

そこで出た結論の1つは、米国を中心とする欧米の企業経営が、売上高や利益に代表される「財務の視点」に極端に偏っていた、ということなのです。

「あまりお金のことを口にしない」日本企業とは正反対の現象でした。

 

実は、一時的に財務の数字を良くするだけなら、とても簡単なことです。

売り尽くせないぐらいの在庫を積み上げれば、利益を作れます。

大リストラを断行して人件費を削減すれば、これまた利益は増えるでしょう。

 

しかし、財務の視点だけではあまりにも短期的です。

「ゴーイング・コンサーン(企業継続の前提)」という言葉がありますが、企業は永続することを前提としています。

ところが米国企業の現実を見ると、短期的な財務の数字作りに走ったため、永続できなくなってしまったところが多く出てしまいました。

 

吉川武男先生の序論のほんの一部でしたが、「財務の視点だけでは長続きしない」というメッセージは、中小規模のフードビジネスにおいても、検証してみる価値があると思いませんか。

 

中小規模のフードビジネスにこそ合っている戦略策定とは

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。