中小規模のフードビジネスにこそ合っている戦略策定とは

バランス・スコアカードの研究の先駆者であられる、横浜国立大学大学院教授、エジンバラ大学教授の吉川武男先生は、「日本企業にこそ、バランス・スコアカードが合う」「勘と度胸と頑張ろうから、戦略志向に変革せよ」と説かれました。。

前回に引き続き、以下に吉川武男先生のお考えを一部抜粋引用させて頂きご紹介したいと思います。

 

吉川先生曰く、

「バランス・スコアカードが『なぜ財務の視点だけでは成長できない』という問題の解決策になるのか」の問いかけに、こう述べられております。

バランス・スコアカードの仕組みを使えば、財務の視点のみならず、「戦略」「業務プロセス」「人材と変革(学習と成長)」といった視点もきっちりと数値化してマネジメントの対象にできるからです。

これらの視点は、長期的に企業が継続していくためには必要不可欠です。

 

実は、財務以外の視点のマネジメントは、従来からの日本企業が得意とするところなのです。

日本企業では、「お客様は神様」だとか、業務の「カイゼン」や「企業は人なり」といったことは以前から言われていました。

ただし、決まった方法論に沿って顧客満足度向上を図るというよりは、「暗黙知」的にやっている部分が多かったのです。

バランス・スコアカードは、こうした日本的要素をシステマチックにしたもの、と理解できます。

 

逆に、日本企業は「財務の視点」のところを具体的にしないことが多いのです。

「お金のことを言うのは、はしたない」という日本人的感覚が、財務的な成果の追求を鈍らせていたかもしれません。

企業であれば、「顧客第一」といっても、最終的には利益につながらなければなりません。

 

この点でもバランス・スコアカードには、4つの視点の因果関係を組み込む仕組みがあります。

「人財と変革の視点で人財育成を進めれば、業務プロセスの視点で顧客ニーズに合った製品やサービスを提供でき、そうすれば顧客の視点で顧客を満足させることができ、そうすれば財務の視点で目標利益を確保できる」といった因果のシナリオを作れるのです。

こうした「戦略MAP」によるシナリオを作れば、KDGから脱却できます。

 

吉川先生は、バランス・スコアカードは「これは日本企業にこそ合っている」と直感され、うまく活用すれば、日本企業の従来からの強みを財務的な成果に結び付けられると説いておられます。

中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営において、「戦略MAP」の「因果関係づくり」、「シナリオづくり」といった、整合性のある従業員の腑に落ちる(腹落ちする)「共に創る」戦略策定が急務と言えます。

 

フードビジネスでの耳障りの良いスローガンはビジョンではない

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。