振り返りなくして、次(ネクスト)を描いても失敗する戦略

中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営が、現在直面している労働力不足、人財不足を抱えながら、「事業戦略」を確実に実行して成果を上げていくには、最初から「BSC」を導入することは少し重いのではと述べました。

「組織が未成熟」な小さな会社は尚更であることも。

では、「BSC」に限らず「共創戦略MAP」にしろ、「事業戦略」を何らかの方法やツールで策定すれば成功するのかといえば疑問です。

 

「事業戦略」に関してずっと気になっていることと言えば、それは「事業戦略」をきっちり作っている割には成果が出ていないということです。

以前から、対象期間を区切って、売上高や営業利益などの財務指標を使って達成すべき目標数値を作っていたとします。

目標達成のために、「どういうメニューや新商品をどんなお客様におすすめしようか」、「このサービスで競合他社との差別化をどうやって図ろうか」といった事業戦略も立てると思います。

 

しかし、その事業年度が終わり結果をみると、売上高は達成したけれど営業利益は未達だったということがあります。

管理可能経費がなぜこんなに多く掛ったのかという分析も当然します。

そういうレビューを基に、次年度の事業戦略を練ります。

 

ここで問題なのがどういうわけか、前年度に立てた事業戦略とほとんど同じような戦略が出てきます。

前年度にできなかったことがまた出てくる、つまり、やるべきこと、やらなければならないことは明確に分かっているのに、十分にできていないということの裏返しです。

これは、事業戦略そのものが「現場」にうまく展開できていなかったためと思います。

事業戦略を確実に展開しようとする意識が足りなかったのか、戦略の実行を裏付ける組織体制(管理体制)が不十分だったのか検証しなければなりまません。

 

したがって、事業戦略を策定することが目標ではなく、確実に実行していく「体制づくり」が必要となります。

中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営において、「事業戦略」とは言わないまでも、今年度の実行計画を年度初め(期首)に立てていると思います。

その実行計画が、確実に実行され成果をあげたかどうかのレビュー(再検討、再考)は行われているでしょうか。

でなければ、多分また同じ実行計画(目標)が次年度も掲げられ、経営者はマンネリ化を嫌い、いつしか達成したようなしないような状態の下に、似たような実行計画にすり替えられます。

結局は、言い回しや表現を変えただけの戦略はまた未達成に終わるのです。

「事業戦略」は策定することではなく、その実行力と成果目標の達成度が重要であることは言うまでもありませが、レビューなくして次(ネクスト)に進むことはありえません。

 

細分化された提案がフードビジネスを迷路に迷い込む

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。