自分で考えることを訓練しないコンサルティングは要らない

前回に引き続き「ロジカル・コミュニケーション」では、「相手が反応するために必要な要素を確認すること」が大切で、必要な要素とは、「結論」「根拠」「方法」の3つでした。

最後の3つ目の「方法」のチェックポイントは、4つあります。

 

1.「公理」(一般に通ずる道理のこと)といった、一般論になっていないか

例えば、

「フードビジネスにおける顧客ニーズを的確に捉えて、スピーディにメニュー化(商品化)することによって競争優位性を確立できる」

①具体的なアクションプランもスケジュールも何もわからない

②したがって成功するか否かの判断(見極め)さえつかない

③結局、何をすればいいのかわからない

 

2.6W2Hや固有名詞や数値は、分かりやすく含まれているか

例えば、

「人材紹介(有料職業紹介)を利用し、適任者をヘッドハンティング(スカウト)して新規事業を推進し、適宜、新商品をマーケットに投入することによって収益拡大を図っていく」

①適任者とは?その物差しは

②適宜とは?どのタイミングを指すのか

③収益の拡大とは、どのくらいの数値を指すのか

 

3.逆に箇条書きで、数値のみの報告になっていないか

例えば、新規飲食事業の販売計画は、

①初年度売上高1億円、3年後5億円

②初年度より福岡市で20か所に展開

③3年後の営業利益率10%、市場シェア率30%

どうしたらその数値を達成できるのかの根拠もシナリオをわからない

 

4.都合の良い(ありえない)前提をもとに組み立てていないか

例えば、

①フードビジネス市場の拡大傾向は今後も続くだろうし、競合他社が参入してこないと仮定すれば、5年後には○△□になるから、△×○になるはずだ

②今後、競合他社から同一業態が出ないとすれば、当社の独り勝ちが予想されるので、福岡市での多店舗化を積極的に推し進める

 

ビジネスを取り巻く環境の「変化」に伴って、「論理的思考」の必要性は昨今ますます増加しつつあります。

上記のようなある意味耳障りの良く、成程と錯覚するような建前の論理では真理にたどり着きません。

「ビジネスシンキング」や「ロジカル・コミュニケーション」などの論理的思考が、「堅苦しい」「理論武装」という言葉で片づけられれば、ビジネスを取り巻く環境の「変化」に対応することはできません。

特にフードビジネスの中核を担う人々にとっては、経営者の過去の成功体験による「従来のやり方」では今の時代通用しなくなりました。

会社の「人財育成」の一環として、「論理的思考」は正面から向き合う必要性があります。

 

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【前回記事】

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※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。