「商品ありき」の見切り発車でも、何とか乗り切る経営者
前回に引き続き、「ビジネスモデル」を考えるフレームは、大別すると、
1.鍵となる顧客価値とは
2.財務的構造は
3.鍵となる経営資源は
4.鍵となる業務プロセスとは
の4つでした。
「財務的構造」の次のフレームは、3.「鍵となる経営資源」と4.「鍵となる業務プロセス」で、この関係は「財務的構造」から派生する並立の関係と言えます。
「鍵となる経営資源」とは具体的には、
① 人財(人材)
② 技術や製品
③ 情報
④ 流通チャネル
⑤ パートナーシップや提携先
⑥ ブランド
などが挙げられます。
「鍵となる業務プロセス」とは具体的には、
① 「製品やサービスを生み出すプロセス」であり、例えば、設計・開発・調達・製造・マーケティング・採用・研修・ITなど
② 「ルール」であり、例えば、投資・信用条件・取引条件など
③ 「判断基準」であり、例えば、取引継続・取引中止・撤退基準など
業務プロセスは業種業態によってさまざまなものがあります。
ここまで述べた「鍵となる顧客価値」「財務的構造」「鍵となる経営資源」「鍵となる業務プロセス」の4つの要素なくしては、ビジネスモデルのフレームは成立しません。
「財務的構造」の際にも述べたように、中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営においては、「数字ありき」からの逆算方式で組み立てる事業は、その大半が失敗します。
また、それ以上に顕著にみられる例が、「商品ありき」です。
フードビジネスや飲食店では、今までは「美味しいものは必ず売れる」という「プロダクト・アウト」的な会社側の論理や計画で事業展開がなされてきました。
「思いつき」と「ひらめき」は本来は違いますが、仮にその両方が同義として捉えるならば、それはまさに「商品ありき」の象徴です。
・この業態や商品は東京で流行っているから、いずれ福岡でも流行るだろう
・地元九州の食材を使って、こういう商品を作れば福岡では売れるにちがいない
など、その例はいとまがありません。
売れる商品やメニューを考えて事業化するには、その事業がどのように儲かるのか(財務的構造)は勿論のこと、実は大切なことは、自分たちが保有する「経営資源」や「業務プロセス」を後追いではなく、先にフレーム化しなければなりません。
「商品ありき」の見切り発車で、「やるしかない」とか「どうにかできる」とか「それを考えるのが仕事」と言われ続け、それに奮い立つ従業員が社内にいて、「今回もなんとかなった」という経営者の錯覚を早く改めなければなりません。
【関連記事】
【前回記事】
※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。