従業員の目から見た「経営者の戦略」が、?になる場合

多くの中小規模の企業(会社)では、中長期計画や予算、目標管理などの「マネジメント・システム」が、別々の主管部門(部署)によって独立的に運営管理されています。

例えば、中長期計画は経営企画部門、予算管理は経理部門、目標管理は人事部門、顧客情報管理はマーケティング部門といった具合です。

それらが連携が取れていれば良いのですが、連携の乏しさから、経営者からのメッセージすなわち「経営戦略」が伝わらないという問題がしばし発生します。

 

それぞれの主管部門が従業員に関連性のないメッセージを発信してしまうと、従業員の側からすれば経営者が何を考えているのかを理解できず、また経営者への信頼感も低くなってしまいます。

さらに、現場に近い、直接現場を管理する管理職にとっては、何を基準に行動すればよいのかが分からなくなってきます。

そして、結局は自部門(部署)にとって都合の良い「部分最適」な行動を取ってしまう傾向があります。

つまり、異なる主管部門が、異なる「マネジメント・システム」を独立して運営管理すると、従業員にとっては経営者の顔が見えず、結果「経営戦略」が浸透しないということになります。

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主管部門ごとのバラつきとは、縦割り組織における典型的な悪い運営管理方法ですが、「経営戦略」を組織全体に浸透させるためには、まずバラバラに運用管理されていた「マネジメント・システム」をお互いに連動できるような「統合化」が必要となります。

例えば、中長期計画と予算の連動、予算と目標管理の連動などです。

 

一般的に代表的な「マネジメント・システム」と言えば、①「中期経営計画」、②「予算管理」、③「目標管理制度」の3つがその順に導入率が高い結果が出ています。

「目標管理制度」とは、多くの企業(会社)では目標管理の結果を個人の報酬に反映させており、目標管理は従業員個人の行動に最も影響を与える「マネジメント・システム」と言えます。

 

残念ながら中小規模のフードビジネスにおいては、②の単年度の「予算管理」は出来ていても、①の経営者の「経営戦略」であるはずの「中長期計画」が不透明な会社が多く見受けられます。

また、③の従業員の「目標管理制度」に関しては、合理性に欠けていたり、不公平な評価項目になってしまっている場合も多くあります。

まず3つの「マネジメント・システム」は、飲食業においても是々非々の問題ではなく、多くの企業(会社)が導入しているという現実を受け止めなければなりません。

 

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