経営戦略の実行スピードを上げるために必要なものとは

「経営戦略」は、内容そのものが時間の経過とともに、その性質が「変質」しました。

多角化を目指した「経営戦略」は、ある成長産業の分野に属していれば、「ヒト」「モノ」「カネ」の資源配分さえ間違わなければ問題がなかったということです。

したがって、成長力のある産業に参加することができれば、たとえその産業(業界)の下位グループに属していたとしても、そこそこ「うまみ」を享受できていました。

 

しかし、本業(コア事業)での市場競争で勝負する戦略「競争戦略」の下では、どのような産業においても、産業(業界)内で主導的なポジションを得るか、あるいは競争社会が参入しにくい小さな隙間(ニッチな市場)で競争を避けるか、この2つの選択肢以外には生き残る道はないと言われています。

とりわけ、競合するライバル会社に市場競争で勝つためには、他社よりも優れた組織や仕組みをつくり、それらを「競争戦略」の意図に沿って運用することが「企業戦略」の要(かなめ)、中心的な課題となります。

 

同一産業(業界)内のライバル会社との差別化を優先課題とする「競争戦略」では、戦略の実施にあたって3つの要諦があります。

1.競争戦略実行の迅速性と組織への浸透力

2.競争環境の変化への対応力(戦略学習)

3.組織設計、プロセス設計、情報システム、業績評価の差別化と整合性

です。

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まず、「競争戦略実行の迅速性と組織への浸透力」に関して言えば、「競争戦略」を進めること(実行)に時間がかかるとします。

これは会社の「競争戦略の選択」=(戦略の意思決定)に時間がかかること以上に会社に競争力を失わせるという痛手を与えます。

逆に、「競争戦略」を実行できる組織は、戦略の選択が仮に最適ではない場合でも、その競争に勝ち残る機会(チャンス)が与えられます。

 

そのためには、必要なことは3つです。

① 組織のメンバーに新しい「経営戦略」を早く正確に伝えること=トップダウンの戦略コミュニケーション

② メンバーの「経営戦略」に対する理解を促すこと=戦略の共有

③ 「経営戦略」の実行がメンバーの業績に反映される=戦略と業績評価のリンク

の3つの仕組みを整備しなければなりません。

 

中小規模のフードビジネスにおいて、トップダウン型の戦略までは得意ですが、果たしてそこに「戦略コミュニケーション」が備わっており、実行のスピードを高める仕組みが機能しているかどうかが非常に重要です。

 

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