環境変化が起きれば、当然既存システムを変更しなければ

同一産業(業界)内のライバル会社との差別化を優先課題とする「競争戦略」では、「戦略」の実施にあたって3つの要諦がありました。

1.競争戦略実行の迅速性と組織への浸透力

2.競争環境の変化への対応力(戦略学習)

3.組織設計、プロセス設計、情報システム、業績評価の差別化と整合性

でした。

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差別化による競争優位の確立のためには、1の「経営戦略」の迅速な実行だけでは、まだ不十分といえ、「組織の学習能力」が必要となります。

「組織の学習能力」とは、差別化を揺るがし、競争優位を危うくするような環境変化に対して、組織が自律的に対応できる「力」のことです。

 

「組織の学習能力」は、主に2つの力を指します。

一つ目は、戦略上の目標を達成できないかもしれないという状況変化があったとき、戦略実行のプログラムを「変更」して、戦略上の目標を「確実」にする能力です。

すなわち、戦略上の重要な目標をよく理解し、決められたプログラムをそのまま進めることが重要なのか、それともプログラムを「変更」してでも目標値を達成することが重要なのかを判断できる能力が求められます。

これは非常に難しい判断になる場合が多く、「経営者」に依存しない「自律」した目指すべき組織のあり様です。

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2つ目の学習能力は、戦略の「変更」を必要とするレベルの環境変化であると認識した場合、その情報を「迅速」に経営者に伝達できる能力です。

自律した組織が、勝手に変更を判断できる訳ではありません。

最終的に経営判断を下すのは「経営者」で、その判断材料の為に自律した組織が「迅速」に「経営提言」することが大切です。

 

最後に、上記の1.「競争戦略実行の迅速性と組織への浸透」と、2.「競争環境の変化への対応」をうまく進めるためには、3.「組織設計、プロセス設計、情報システム、業績評価の差別化と整合性」が必要ということです。

簡潔に言えば、環境変化への対応のため、戦略を「変更」という経営判断をしたのにも関わらず、以前と同様の情報システムであったり、業務プロセスのままであったりすると「不具合」が出るということです。

すなわち、従業員は戦略変更前に行っていたことを同じように継続すれば良いと勘違いし、ここに「ミスマッチ」が生まれ、結果、組織としての競争力が失われます。

 

中小規模のフードビジネスにおいて、戦略が「変更」されたにもかかわらず、特に「評価制度」が以前と同じ尺度で評価されれば、そこに大きな違和感を覚えます。

従業員の行動に対して評価し、報酬を与える「業績や行動の評価」の仕組みがあるというならば、環境変化に伴い柔軟に対応できる仕組みが必要です。

そのことを見過ごす経営者の方がいることは非常に残念なことです。

 

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