目標時期の設定が、いつでもどこでも節目の年はありえない

会社の成長は、「株式上場」がすべてではありません。

勿論「株式上場」により、さまざまなメリットを享受し、経営資源をより増強させ新たな「成長戦略」を描くことは素晴らしいことだと思います。

 

先日、知人の紹介により既に「株式上場」を目指している会社の経営者にお会いする機会がありました。

その会社の上場目標時期は、2020年でした。

「なぜですか?」とお聞きすると、「東京五輪イヤーだから」と笑っておられました。

本当はもっと奥深い計画(理由)があるのでしょうが、もしそれだけが理由ならば・・・。

一般的には、上場準備期間として2~3年程度を要しています。

勿論、今は2016年ですから2020年の東京五輪には間に合いますが・・・。

 

「創業〇〇周年に〇□△を!」とか、「私の還暦の年に□△×を!」は、中小規模の経営者の方に多い傾向です。

若くして起業し全財産を投げ出し、見事に「今」を迎えた経営者が、節目節目を大切に新たな「未来」の目標時期を設定することに異論はありません。

しかしながら、「株式上場」は別問題です。

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会社が株式上場準備をスタートするにあたり、まず「上場の目標時期を設定」します。

確かに時期の設定が「最初」です。

しかし時期の設定は、

1.会社が安定的に成長し、将来にわたって存続可能な経営基盤が整う段階にあるか

2.社内管理体制が整っているか

という2点は、重要な判断要素となります。

 

そのポイントとして、以下の8つの整備スケジュールを考慮し、「上場目標時期の設定」をします。

① 上場審査基準の充足はできるか?

② 収益基盤、成長基盤は確立しているか?

③ 株主構成の再構築、資金調達など資本政策を実施する時間的猶予があるか?

④ 社内管理体制の整備を行う時間的猶予があるか?

⑤ 関係会社を整備する時間的猶予があるか?

⑥ 上場申請直前2事業年度の財務諸表などに監査法人の監査意見が表明されるか?

⑦ 上場準備推進要因は確保可能なのか?

⑧ 財務報告に係る内部統制構築の時間的猶予はあるのか?

上記を「検討」することが実は「最初」です。

上記①~⑧は、すなわち「経営計画の立案」です。

そして「検討」とは「見直し」で、その過程を経て「目標時期の設定」です。

 

中堅・中小規模のフードビジネスにおいて、「株式上場」を視野に入れ、新たな成長戦略を描く経営者の方も多いと思いますし、是非実現して頂きたいです。

ちなみに、この経営者とご一緒に顧問の経営コンサルタントの方もいらっしゃいましたが、「上場時の時価総額を上げることをコンサルティングしている」とおっしゃっていましたので、私にはお二人とも無縁の方でした。

最後に、知人の経営者のソーシャル・メディアで見た記事の一節が気になったのでご紹介すると、

「社長をはじめ経営幹部は、無意識のうちにどこか自分たちにとって都合のいいシナリオを描いてしまっていたのではないでしょうか」

 

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