部門毎に組み立てる「戦略」では決してうまくいかない

経営者の「経営戦略」はしっかり設定されているのにもかかわらず、「マネジメント・システム」の、①「中期経営計画」、②「予算管理」、③「目標管理制度」の3つが、高い確率で連動しずらいことが前回、前々回のコラムで分かりました。

したがって、「組織全体」を一気通貫し、「全体最適」を図っている中小規模のフードビジネスが少ないことが目立ちます。

 

既に述べたように「予算管理」制度は、企業(会社)全体の中で資源配分プログラムという性質上、不可欠な要素で、これ自体が立ち遅れている中小規模の会社は早急にその役割を認識しなければなりません。

しかし、「予算」を作ったからと言って、従来の「評価」に直結する「目標管理制度」を改め、真に従業員のモチベーションを高めるという観点からも、「部分最適」ではなく「全体最適」になる仕組みを構築しなけらばなりません。

 

「戦略コミュニケーション」を促進させるためのツールが、バランス・スコアカード(以下BSC)とされたのは、BSCの持つ重要な機能が、業績評価指標の間に存在する「因果関係」に他なりません。

BSCとはもともと、経営者の抽象的に表現される「戦略目標」を具体的なKPI(重要業績評価指標)に変換することによって、「戦略目標」の実行度合いを具体的に測定できるように考案されたツールです。

 

よく知られているように、BSCは4つの視点で構成され、「組織の学習の視点」から始まり、「財務の視点」に帰結する因果関係が重要視されています。

ところが、うまくいかないのは、異なる視点に属する戦略目標やKPI(重要業績評価指標)の間には、「因果関係」にずれが生じます。

本来、紙一枚で描けるはずの「戦略MAP」の「因果関係」が不明確で、「戦略目標」を読み取りにくいという現象です。

a0002_001424

どういうことかといえば、BSCの「因果関係」は組織の上部組織と下部組織といった組織の階層に沿った上下の「因果関係」がなければ成立しません。

上部組織が設定するKPI(重要業績評価指標)と下部組織が設定するKPI(重要業績評価指標)は、関連付けがないといけないということです。

 

BSCを導入した当初は、「戦略目標」からKPI(重要業績評価指標)を設定したり、分かりやすい「戦略MAP」の因果関係を自部門にこだわり、考えながら作成することによって、自部門のBSCで手一杯になってしまいます。

これは最初から、自部門のみでBSCを作成しようとするからです。

 

中小規模のフードビジネスにおいては、組織の規模が大きくないわけですから、逆に「目標戦略」を可視化する段階で、初めから「全体最適」を想定し、組織横断的に取り組めば良いことになります。

「戦略MAP」を描いたからと言って、うまく行かない、「因果関係」がないから「全体最適」にならないのは、あくまでもセクショナリズム的に、個々の部門毎に「戦略」を描き、またそれを調整する機能が会社にないからです。

 

【関連記事】

経営者自らが「戦略コミュニケーション」を理解しなければ

【前回記事】

経営企画室は、部分最適ではなく全体最適を

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。

【新着情報】2016年12月21日

弊社ホームページのリンクに関するお知らせ