年功主義のメリット、デメリット

「人事ポリシー」には、①年功主義、②能力主義、③職務主義、④成果主義があります。

各「人事ポリシー」は必ずしも単独で用いると限られたものではありません。

例えば、基本経済条件(給与額など)を決定する場合には、「能力主義」。

期間の賞与額などを決定する場合には、「成果主義」を用いるなど、複数を組み合わせて用いることも可能です。

 

年功主義、②能力主義、③職務主義、④成果主義のどれにも一長一短があり、どれを採用するのか、どれとどれの複数を組み合わせるのかなど、その選択採用はまさに経営者や経営幹部の意思決定に委ねられます。

各社の経営理念や経営戦略と密接に関係しているので、そこには制限的限定は存在しません。

 

1.年功主義とは

年功主義とは、実年齢や勤続年数に応じて昇給、昇格昇進させる人事制度の考え方です。

過去、「日本的雇用制度の三種の神器」と言われた、終身雇用制、年功序列制、企業別労働組合あり、かつての高度経済成長期を支えた代表的な仕組みと言えます。

この仕組みは、日本企業の競争力を支える強い仕組みとされてきましたが、ご承知のように、1990年代初めのバブル経済崩壊後、その弊害が指摘され、多くの企業(会社)は敬遠したのが実情です。

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ごく簡単に「日本的雇用制度の三種の神器」を振り返ると、

① 終身雇用制度

入社から定年までの長期間、従業員を雇用する制度のことです。

② 年功序列制度

学歴別、年齢別に決まった等級や初任給を基礎とし、後は勤続年数や年齢によって等級や賃金が上がっていくという仕組みのことです。

③企業別労働組合制度

一つの事業所(または企業全体)の従業員を、すべて一つの組合に組織するという制度のことです。

 

この年功主義のメリットとデメリットを見てみると、

① メリット

従業員にとっては、生活設計の見通しが立てやすく、安心感が得られるので、長期的に働こうというモチベーション(動機)が生まれます。

一方で、経営者側からすれば、労働者を年齢別、勤続年数別といった客観性のある指標で判断、評価できます。

② デメリット

平均年齢が高まって高齢化すると、人事が停滞してします恐れがあります。

具体的には、自らの能力や成果をすぐに処遇に反映させてほしいと考える若手の優秀な従業員にとっては、モラールダウンを招きます。

また企業の構成員自体が高齢化すると、賃金支払い額が大きくなり、それが企業の収益を圧迫するという状況が出てしまいます。

 

ここでは、「人事ポリシー」の年功主義に関してみてきましたが、これが過去の産物で、決して悪い制度ではありません。

中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営では、今後、成果・能力主義に走りすぎ、従業員にとって長期的に働く人材の見直しを迫られています。

でなければ、この労働力不足を解決することは出来ないでしょう。

 

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