経営戦略上位概念④-事業ドメイン-
経営戦略を策定する時の「経営戦略の上位概念」である4つの要素とは、
1.企業理念
2.コア・コンピタンス
3.事業ドメイン
4.ビジョン(将来像)でした。
3番目の「事業ドメイン」とは、事業の活動を行う領域のことです。
事業ドメインが必要な理由は、
①活動する事業分野を規定することで、無謀な多角化を抑制すること
②事業の展開方向を指示することで、経営資源と社員のベクトルを同じ方向に集中させること
です。
事業ドメインは広すぎてもいけません。
多くの企業は単一事業だけで成長を続ける事は不可能です。
量的拡大を図るために多角化は必要です。
しかし多角化をする際に事業ドメインが規定されていなかったり、その幅が広すぎると、自社の競争能力や経営資源を超えた無謀な多角化の危険性をはらんでいます。
事業ドメインをきちんと規定しておけば、参入しない事業には手を出さず、無謀なリスクを回避することができます。
一方、事業ドメインは狭すぎてもいけません。
難しいことですが、あまりに幅が狭いと事業展開に制約が生じて、結果うまくいかないというケースです。
近視眼すぎるのも問題があるということです。
事業ドメインが「飲食事業」と定めれば幅が利きますが、ある種の業態だけに絞り込むと拡がりをなくしてしまいます。
単一業態で勝負することに異論はありませんが、事業ドメインはフードビジネス事業とし、食を軸足にする多角化の余地は必要と思います。
このように事業ドメインは、狭すぎず広すぎず、また現在の事業だけでなく、将来の事業の展開方向まで視野に入れる必要があります。
事業ドメインの定義軸は3つあります。
1.顧客(市場)の軸・・・誰に(どの市場に)対して事業を行うのか=WHO
2.技術の軸・・・どのような技術やノウハウを活用して事業を行うのか=HOW
3.機能の軸・・・どのような機能(価値)を提供して事業を行うのか=WHAT
先の経営戦略の上位概念「コア・コンピタンス」と「事業ドメイン」は表裏一体です。
「コア・コンピタンス」における要件は
①顧客に自社ならではの価値をもたらすことができるもの・・・顧客の軸、機能の軸
②他社が容易に真似できないような独自の技術、ノウハウ、スキルなど・・・技術の軸
要は、「コア・コンピタンス」が明確になれば、「事業ドメイン」も明確になります。
中小規模のフードビジネスで、事業ドメインの3つの軸とコア・コンピタンスの関係性を見落としなケースが見受けられるので、経営戦略の上位概念として注意が必要です。