『戦略とは何か⑤-見えざる資産の蓄積』

経営学者で一橋大学名誉教授の伊丹敬之先生の『経営を見る眼』、サブタイトル「日々の仕事の意味を知るための経営入門」の著書は私にとってのバイブルです。

その著書の一部、伊丹先生の当時平成14年1月の日本経済新聞のやさしい経済学ー経営入門ー『戦略とは何か』の全6回のコラムの第5回目、「見えざる資産の蓄積」の要約です。

 

事業戦略の「差別化」と「個性主張」、企業戦略の「展開の絵」と「焦点」がそれぞれの戦略の鍵です。

しかし真の問題は「差別化」と「個性主張」や、「展開の絵」と「焦点」という鍵をきちんと実行できる能力を企業が持つことです。

コスト倒れにならないように、しかし鍵の実行を可能にする能力の蓄積や、システムの構築をすることです。

 

「見えざる資産」とは、技術、ノウハウ、信用、ブランド、システム力など様々な目に見えない資産のことで、

「見えざる資産」が戦略の背後で重要である2つの理由は、

1.競争上の優位性の真の源泉であるから

①「見えざる資産」は簡単にお金で買うことはできない

②自分で育てる必要があり、自分で蓄積するには時間と手間がかかる

だからおいそれとは作れないのです。

 

2.変化対応力の源泉であるから

既存事業での競争条件や需要の変化や、産業構造の変化などに対応して既存事業を革新し、あるいは新事業を開拓していくために必要なのです。

既存事業で蓄積された技術は、新事業へコストをかけずに同時利用も可能になるからです。

従って、技術、ノウハウ、信用、ブランド、システム力などの「見えざる資産」を蓄積することが戦略の鍵になるのです。

 

『戦略とは何か⑥-3つの落とし穴』