経営戦略上位概念②-「企業理念」の重要性-

以前、経営戦略を策定する時に、「経営戦略の上位概念」である4つの要素を確認しなければならないことを述べました。

まずそのうちの1つの「企業理念」ですが、全体会議の冒頭や朝礼などで唱和される「企業理念」は、お題目で一向に社内に浸透しない会社が多いことも。

さらに、新入社員も志望動機では「御社は企業理念が優れている」と言いながらも、実際入社すると意識が薄れてしまいます。

年功序列、終身雇用という過去の産物に変わって、現在は成果主義が重んじられ、社員の会社へのロイヤリティ(忠誠心)が薄れてきているので、企業理念はますます軽視される傾向にあります。

 

しかしそんな企業内状況に相反して、世の中は企業理念を重視する傾向が強まっています。

以前にも増して企業の社会的責任が大きく問われるようになったからです。

企業は単に収益を上げるだけではなく、コンプライアンス(法令遵守)、コーポレートガバナンス(企業統治)、環境保全、社会貢献性などが重要視されています。

「企業理念」とは企業の価値観を表すものであり、世の中は企業の健全な価値観や姿勢を強く求めています。

 

従って、「企業理念」は企業の内部向けに発信するものではなく、社外の外部向けに発信するものでもあります。

結果、「あの会社は企業理念を大事にしている優れた会社」と評判になれば、必然的に社内でも「企業理念」が意識され、効果的に浸透する仕組み、方法になると言えます。

 

さて、「企業理念」は創業者の「経営理念」に基づき、その価値観が反映されているものです。

その「企業理念」は安易に変えてはいけない、変えるべきではないと言われています。

しかしながら、会社を取り巻く事業環境の変化や会社の戦略にそぐわない「企業理念」であれば、見直すことも大事です。

お題目の「企業理念」と実態や戦略が乖離しているのであれば放置しておくほうが問題と言えます。

 

今後さらに重要視される「企業理念」に必要な3つの要素は、

①会社が世の中に存在する異議

何のために存在し、世の中にどんな価値観を提供していくのか

②会社の重要な経営方針

存在意義を実現するためにどのような方針が必要か

③社員の行動規範(行動の基準となる考え方)

存在意義を実現するために社員は何をしなければならないのか

 

中小規模のフードビジネスにおいて、「経営理念」のみで「企業理念」が明文化されていない、形骸化されているのであれば、今後の戦略にそぐうよう一度見直してみることも大切です。

 

経営戦略上位概念③-コア・コンピタンス-