当社がここまでやれた理由とは

戦略的マネジメントサイクルを構成する戦略策定は、「何をなすべきか」「何ができるか」という2つの見方でした。

「何をなすべきか」が「戦略の分析的アプローチ」で、戦略の立案をする戦略重視の考え方です。

アルフレッド・D・チャンドラーの「組織は戦略に従う」という意味を持ちます。

 

戦略の分析的アプローチによって、企業(会社)がおかれている其々の環境下で、最適と思われる組織や人事制度の枠組みができたことになります。

その企業独自に設計された枠組みで、従業員が経営活動し、経営成果を追求していかなければなりません。

この設計された人事制度の枠組みは当然の如く、全従業員が機会平等でなければなりません。

しかしながら、機会平等を与えても必ず個人差によるバラつきが発生します。

この個人差によるバラつきを最小限にとどめるために生まれた経営理論が「ナレッジ・マネジメント」です。

 

ナレッジ・マネジメントとは、言語だけで表現できない技術やノウハウなどを組織的に管理する技法のことです。

例えば、ちょっとした作業手順の妙でバラつきなく高品質の商製品が生まれることがあります。

この作業手順の妙や技術の組み合わせの妙などが、その会社のコア・コンピタンス(中核的能力)となります。

実は作業手順の妙や組み合わせの妙といったものは決して高難易度の技術ではなく、ちょっとしたことが多いです。

このちょっとしたことが、他社には真似できないものであり、その会社の「ノウハウ」となります。

中小規模のフードビジネスにおいて、「数年前には当社がここまでやれるとは思わなかった」という経営者の感慨深い言葉はその象徴です。

 

「ナレッジ・マネジメント」を簡単に一言で表すと、「好業績を生み出している人の一挙一動を真似る」ということです。

ナレッジ・マネジメントを効果的に運用すると、個人のパーソナリティが様々でも個人差によるバラつきが極力少なくなるばかりか、組織に様々なノウハウを蓄積し、結果大きな飛躍を遂げる例は少なくありません。

さらにナレッジ・マネジメントは組織や従業員にやれば出来るという自信をつけさせ、新たな挑戦目標に挑むという「企業文化」が形成され、結果好業績が維持できます。

 

これが「何ができるか」という「戦略のプロセス的アプローチ」と呼ばれるもので、H・イゴール・アンゾフの「戦略は組織に従う」を意味します。

内部環境の強みに変化をもたらし、戦略のプロセス的アプローチがまた新たな強みを生み、さらに新たな戦略へと導いていくのです。

戦略の分析的アプローチと、プロセス的アプローチの2つの戦略立案が循環することで、戦略的マネジメントサイクルが機能し、企業(会社)をゴーイング・コンサーンへと導くのです。

 

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