フードビジネスでの「わいわいがやがや」できる戦略

「バランス・スコアカード」の研究の先駆者であられる、横浜国立大学大学院教授、エジンバラ大学教授の吉川武男先生は、「『バランス・スコアカード』は経営に密着した仕組みですから、まず、経営トップが導入や運用に積極的に参画し、責任を持つということが絶対に必要です」と述べられていました。

引き続き吉川武男先生のお考えを一部抜粋引用させて頂きご紹介したいと思います。

 

「バランス・スコアカード」は、経営トップのみならず、さらに部門間のコミュニケーションが重要です。

部門ごとに「バランス・スコアカード」を作る場合、部門Aの「戦略MAP」と部門Bの「戦略MAP」が矛盾していては、「全体最適」にはなりません。

これを整合させるには「話し合う」しかありません。

 

それから、よく「『バランス・スコアカード』は個人の業績評価に使えるのか」という議論があります。

それも結構ですが、個人の業績評価のためだけに「バランス・スコアカード」を導入すると、必ず失敗するでしょう。

そもそも、「コントロール」とか「査定」という言葉を使わないようにしています。

これを前面に出すと、社員や職員は委縮してしまうでしょう。

「バランス・スコアカード」は後ろ向きの犯人探しのための道具ではありません。

全員で戦略を通して「ビジョン」を実現するための前向きなものです。

 

キャプラン、ノートン両氏も、「バランス・スコアカード」を提唱した当初は「業績評価システム」だと言っていましたが、最近では、組織を「戦略志向にする」仕組み、という言い方をしています。

いずれにせよ、「バランス・スコアカード」の構築と運用に唯一の正解はありません。

みんなで一緒に考えて、自分たちなりに構築し運用できるのが良いところです。

 

「バランス・スコアカード」は、コミュニケーションの手段としても有効です。

「バランス・スコアカード」という1つの様式を使うことで、社員や職員が「わいわいがやがや」議論できるようになるということが重要です。

単に社員や職員が集まって「経営戦略について議論しよう」と言われても戸惑うばかりです。

一方で「『顧客の視点』から視ればどういう戦略が必要だろうか」というように考えられれば、議論はもっと盛り上がるはずです。

 

中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営において、これから大切なことは、「共に創る」精神で責任を持って「組織を戦略志向にする仕組み」で、戦略を確実に実行していくことです。

お仕着せの手法や理論によるコンサルティングや参加意欲のないワークショップはもう無意味です。

特にサービス業はお客様の立場にたった「わいわいがやがや」議論できる戦略が求められています。

 

小さな会社こそ「共創戦略MAP」でフードビジネスに活力を

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。