細分化された戦略がフードビジネスを迷路に迷い込む

「事業戦略」を毎年度、毎年度続けていくことは正直大変なことです、特に小さな会社であれば。

生半可な意識や気持ちで実行するなら、極論やめたほうが良いと思います。

「事業戦略」は経営企画室であったり、各事業部門にかなりの負担がかかるのは事実です。

「事業戦略」にはレビュー(振り返り)が必要と前回述べましたが、業績数値のレビューならいざ知らず、行動の中身の検証とその資料作成には相当な時間がかかります。

 

一方、それなりの時間がかかる割には、ちょっと気を抜く(油断する)と、重点を逸脱した分析になり、「管理のための管理」「報告のための資料作り」に陥ってしまいます。

これでは、業績を伸ばすどころか、本末転倒で極端に言えば、会社を潰すことにもなりかねません。

「戦略」を策定し、その業績指標や目標を設定するだけなら、すぐに出来るでしょうし、そこがゴールと勘違いするのは大きな誤りです。

 

「戦略の策定」は一朝一夕にはできません。

試行錯誤することで、「形骸化」の危機を乗り越えることができるのです。

まず、「事業戦略」は細かく分けすぎてはいけません。

「事業戦略」である以上、抽象的ではなく具体的でなければならないのは当然です。

例えば「売上高の20%増加」という仮に戦略であれば、客単価を50円上げようとか、来客数を1日当たり10名増やそうとか、大口の宴会客を月間10件増やそうとか、どうしても細かくしていきます。

 

ところが策定してみると、細かすぎてどうも総花的(重点的でない)になってしまいます。

一つの事業体や業態には、技術戦略もあれば、生産戦略もあれば、販売戦略もあり、その数がどんどん増えます。

販売戦略を集客戦略に置き換えれば、新規顧客獲得もあれば、既存顧客維持もあります。

要は、掘り下げるのが悪いのではなく、思いつくまま全部を展開し、業績指標や行動目標を設定しても、「これが出来た」「これが出来なかった」とレビュー(振り返って)してみても、業績は上がっておらず、取り組み自体が形骸化します。

 

理由は簡単で、ディテール(細部)の「戦術」に気を取られ、本来重点を置くべき「戦略」を多くても4つ以内に絞らないからです。

主要「戦略」以外は思い切って捨てるという覚悟がなければなりません。

 

中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営では、経営者の過去の成功体験を引きずってしまいがちです。

時代を見据えた正論であっても、細かく考えることが美徳的な発想のもと、全体を見据えた意見よりも、より具体的な意見であったり、数多くの細部の提案を求めます。

また、自分の成功体験に等しい意見は「是」であり、考えつかなかった案は「非」になる傾向が強いです。

過去の成功体験にしがみつく創業者の考えを否定するのではなく、「こういう方法もありませんか」という組織文化に変革する風土が今は求められる時代です。

 

業績評価を主体にすると失敗する組織運営

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。