戦略の分析的アプローチ④-組織と人事ポリシー
戦略の分析的アプローチ③で、「価値連鎖」で競争に負けないためには、強みを発揮できる「仕組み」を設計すると述べました。
協働によるどういう「仕組み」にするか、それは「組織設計」に他なりません。
組織は、価値連鎖の強みを発揮できる構造にしなければなりません。
組織構造は「縦型組織」と「横型組織」に大きく2つに区分されます。
1.縦型組織
①一般的なピラミッド型組織
②経営環境が安定期にあり、収益が右肩上がりの状況下に適している
2.横型組織
①ネットワーク組織やプロジェクト型組織
②不透明な経営環境下で、経営革新が必要な局面に適している
ライン組織、ライン&スタッフ組織、事業部制組織、カンパニー組織、持ち株会社(分社)などが縦型組織で、多くの中小企業は事業部制組織が多いのではないでしょうか。
一方、プロジェクト組織、社内ネットワーク組織、社外ネットワーク組織などが横型組織と言えます。
すでに当たり前的な常套句ですが、組織は戦略を考える上で極めて重要です。
組織とは、従業員などの人的資源を動かすためのハード的な枠組みのことで、戦略に応じて適正な組織構造を設計することが改めて重要になります。
しかし、いくら優れた組織構造を設計しても、その組織を構成する従業員が活動するために指針や評価軸がなければ組織は決して機能しません。
組織内にルール、すなわち「人事制度」の設計が不可欠になります。
人事制度を設計するには、「従業員の評価軸」=「人事ポリシー」を明確にしなければなりません。
①年功主義
年齢や勤続年数によって賃金が決まる
②能力主義
保有資格や保有スキルなどの能力水準によって賃金が決まる
③実力主義
問題に直面した時の対処の仕方などの行動パターンによって賃金が決まる
④成果主義
売上高や利益などの仕事の成果によって賃金が決まる
の①~④が代表的な考え方です。
これら4つの「人事ポリシー」のどれを選択するか、どの組み合わせで行くか、によってその企業(会社)の従業員に対するスタンスが決まります。
また戦略との整合性が明確でなければなりません。
自社を取り巻く環境が、右肩上がりの成長期なのか、先行き不透明で経営革新が必要な時期なのか。
勿論、最も大切なことは従業員一人一人が「人事ポリシー」を理解納得し、各種労働法規の規程の枠内で運用されることです。
中小規模のフードビジネスや個人の飲食経営では、評価軸を決めたものの、従業員への丁寧な説明と法令遵守が課題となっているケースが非常に多いので、十分な注意が必要です。
でなければ戦略を実行するための組織を構成する人的資源を動かすことはできません。
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