フードビジネスにおいて、それは「ひらめき」か「思いつき」か

ビジネスにおいて、人と人が集まった集合体の組織では、意識をそろえ、足並みを合わせるためには、人と人との間の経営上の「コミュニケーション」を徹底するしかないと述べました。

「コミュニケーション」といっても、社長が「前年比120%は当たり前」と言ったことを、経営幹部などがオウム返し的に号令することではありません。

現場は、前年比120%という号令は分かっていても、120%という数字がどこから来ているのか、どういう方法(手段)で120%を達成すればいいのかは分かりません。

分からないことを号令されるだけは現場にとっては、それは「お仕着せ」という「やらされ感」に他なりません。

経営トップからすれば、ただ数値目標を号令しただけのことなのですが・・・

 

現場の「やらされ感」をなくすためには、まず会社(組織)のビジョンを明確にし、これを誰もが分かる形で具体的に「戦略」として落とし込む必要があります。

その為に、経営トップ(社長や経営幹部)と現場との「コミュニケ―ション」の手段として、「共に創る戦略」という概念が重要と考えます。

 

「戦略経営」、「戦略的思考による経営」などといったように、経営に関して「戦略」という言葉(フレーズ)は当たり前のように日常茶飯事的に使われます。

この「戦略」という言葉の意味は何なのか、という問いかけに、何となく分かっているという人は多数いると思いますが、具体的にその「戦略」の中身について表現(説明)できる人は意外に少ないのではないでしょうか。

 

仮に「売上が上がれば、その粗利益が増加するので、兎にも角にも売上が大切で、売上を上げるしかない」という号令が戦略だと豪語する経営者(社長)がいるならば、その経営者の強制力が良い意味で効いている間は組織は何とか機能します。

しかし、右肩上がりの経済成長が終焉を向かえ、競争激化の中、生き残りをかける時代に、そんな戦略という名の号令が通用するはずもありません。

 

中小規模のフードビジネスにおいて、価格を下げみればとか、こういう商品を導入してみては、という「戦略」ではない思いつきはこれからは決して通用しません。

経営者ならでは直感は、論理的なロジックはなく独特の「ひらめき」であり、それが他人が全く思いつかない成功へも入口である事に間違いはありません。

しかし、「ひらめき」と単なる「思いつき」では全く意味が異なります。

従業員一丸となってという視点においては、強権発動だけでは人は動かず、結果、折角の「ひらめき」は戦略として意味をなさず、不実行に終わることを再認識しなければなりません。

 

従業員10人の小規模飲食店でも方向性が見えなくなる

※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。