言葉巧みに「IPO」を勧められ、勘違いしてしまう前に
前回に引き続き、少しだけ「株式上場」について触れると(専門分野ではありませんので)、
「株式上場」とは、会社が証券取引所に株式の上場申請を行い、証券取引所により承認された会社の株式が、株式市場において売買されることです。
収益性だけではこの承認は得られず、承認にあたっては、会社の社内管理体制や成長性、そして収益性など証券取引所の「適格要件」に適合する必要があります。
その結果、「株式上場」することになった場合、①信用力の向上、②知名度の向上、③資金調達力の多様化など、多くのメリットを享受する一方で、株主をはじめ多くのステークホルダーへの対応が必要となります。
※ステークホルダーとは、
① 会社の経営活動において利害関係を有する者のことです。
② 具体的には、株主、投資者、債権者、金融機関、取引先、消費者、従業員、国、地域社会、行政機関などの会社を取り巻くあらゆる利害関係者を指しています。
また「株式上場」によるメリットの享受とは、、会社の「経営戦略」において、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった「経営資源」を増強するための「成長戦略」の手段と理解するのが良いでしょう。
具体的には、
1.信用力・知名度の向上
2.資金調達方法の多様化、財務体質の強化
3.株式の流動性拡大
4.社内管理体制の充実
5.優秀な人材(人財)の確保、従業員の士気向上
など、会社は上記のようなメリットを享受することが可能になります。
「株式上場」の意義を一般論で申し上げると、「限られた株主からなる、限定的な情報開示を行う会社」から➡「様々な株主からなる、広く一般に情報開示を行う会社」への転換ということです。
すなわち、「プライベート・カンパニー」➡「パブリック・カンパニー」です。
同義ではありませんが、経営者が株式上場を決意した時に、従業員向けに「『MYカンパニー』から➡『OURカンパニー』へ」というスローガンをよく掲げます。
誠に素晴らしいスローガンですが、実現するに向けて「経営者の決意はいかほどか」ということが最も重要です。
株式上場によるメリットの享受の一方で、当然デメリットもあります。
「経営者のメリット」だけが気になる方からは、デメリットとは「上場準備や維持するのにかかるコストは?」とか「金銭的制約は何?」という質問がきそうですが、誤解を恐れずに申し上げると、それは違います。
デメリットとは、「株式上場に伴って発生する負担」、すなわち「株主はじめ多くのステークホルダーへの対応の必要性」です。
福岡をはじめ九州のフードビジネスにおける中堅・中小企業やベンチャー企業で、「パブリック・カンパニー」を目指すのであれば、その「経営者の決意はいかほどか」ということです。
「MY」は経営者ご自身ですが、「OUR」とは何を指すのかを理解する事が、上場会社になる決意(心構え)の第1歩です。
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※「共創戦略研究所」とは、NPCが福岡市で運営するプロジェクト支援事業で、NPCとはネクスト・プラクティス・コンサルティングの略です。