外食産業(フードビジネス)の市場規模と業界の動向
外食産業の2015年(平成27年度)の市場規模は、約25兆1,816億円という一大産業です。
(平成28年7月 一般社団法人日本フードサービス協会発表)
微増ながら、前年比約2.2%の成長です。
この要因として、世帯一人当たりの外食支出額の増加、法人交際費の増加傾向、訪日外国人の増加などが挙げられます。
外食産業の特徴として、一般的にこの業界は①参入障壁が低く、②開廃業率とも高く浮沈みの激しい業界と言えます。
もともと、個人店経営をはじめ零細企業の比率が高いものの、過去、大手チェーン店のシェアが顕著に上昇し業界の市場規模を押し上げました。
また、M&Aでの事業拡大や新業態への進出を行う企業が多く、企業ごとの「成長戦略」の違いが一層明確になってきています。
外食産業にとって、「美味しい」「コストパフォーマンスが良い」というのは当たり前の評価ポイントになりました。
しかしそれ以上に、③「人材」が重要と考えられるのは、「人材」を経営資源として保有していなければ、多店舗化が出来ないということです。
多店舗化に成功している企業(会社)は、「店長」を筆頭に適切なマネジメントができる「人材」が揃っているというのが顕著な傾向です。
市場自体は飽和状態にあるものの、事業所数は約67万、従業員数は約440万人と言われています。
このように外食産業は巨大な産業ですが、これを構成する事業者は中小零細企業が大多数を占めています。
業界首位と言われる企業のゼンショーホールディングス(2015年度)の売上高が約5,257億円は、シェア率では約2.1%に過ぎません。
このことからも、見方によれば寡占化が進んでいないという業界と言えます。
とはいえ、上位企業の集中度はいまだに高く、チェーン店の優位性の方向性は変わっていません。
大手企業の間でも合従連衡の流れは加速しています。
ゼンショーやコロワイドはM&Aで次々と中小規模の会社を吸収し巨大企業への成長を進めています。
またドトール・日レスホールディングスのように過去、低価格カフェ業態とパスタ業態という別業態のプレイヤーが手を組んだ例もあります。
モスフードサービスとダスキン(ミスタードーナッツ)では資本提携したケースも過去ありました。
このケースは、ハンバーガーとドーナッツという取扱商品こそ違いますが、同等の売上規模でFC展開という似たような状態が手を組んだことで注目されました。
今後、外食産業も大連立の方向性は否めません。
中小規模のフードビジネスや個人の飲食店経営において、自社(自店)の業界でのシェア率はどのくらいでしょうか。
大手チェーン店の時代は終わり、こだわりの個人店という話しをよく耳にしますが、それは違います。
大手チェーン店の売上規模が示す通り、顧客に支持されなければこれを維持できません。
大切なことは、外食産業という業界の中に属する以上、大手から学ぶべきことはいくつもあるということです。
近視眼的に自社(自店)だけ見ていると、業界の大きなうねりにあっという間に飲み込まれてしまいます。
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