フードビジネスにおける収益性と人材教育の視点

「外食産業」の業態は多岐にわたり、一様ではありませんが、世間一般の外部(顧客でない分野)の方々が捉える「外食産業」の概念がありました。

多くの業態にもあてはまる一般的な評価(チェック)ポイントは4つあり、その1つは、

まず①「業態、顧客属性、出店エリア」でした。

次に、②「経営手法」いわゆる直営かFC(フランチャイズシステム)かでした。

 

そして3つめは、③「収益性」です。

店舗の営業利益は大雑把にいって、売上高と食材費、人件費、店舗経費の3つの費用で決まってきます。

飲食業界でよく用いられる経営指標に店舗の「FL比率」があります。

Fは売上高に対する食材費の比率、Lが同じく人件費の比率で、合わせて(FLコスト)で60%程度が一般的にある一定の営業利益を確保するための目安と言われています。

 

但し、これはあくまでも一般論であり、外部の方々は、飲食業の専門家ではない場合もあり、あくまで外食産業の全体像(基本的なこと)をそう視ているということです。

原価率だけで45%を越えますが、残る売上総利益(粗利益)の「率」ではなく、「額」で収益を維持する業態が最近は増え着てきたのは事実です。

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この「FLコスト(経費)」に対して、店舗経費は1店舗当りの投資額で決まり、自社物件か賃貸物件か、設備は新設か既存の居抜きかにより、その投資負担額は大きく変わってきます。

「外食産業」では「FL比率」をどの程度に設定し、1店舗当りにの投資額をどのくらいの期間で回収できるのかという「投資利益率」(ROI)を総合的にみることで、その業態の収益性判断が可能と言えます。

 

そして最後の4つめは、④「店舗オペレーションと人材教育」です。

「外食産業」は接客業である以上、「人材教育」が重要な要素となるのは言うまでもありません。

多くの店舗ではパート・アルバイトを多用しており、それをコントロールする「店長」の優劣が店舗売上高に大きく影響してきます。

また、FC方式の場合は、「店長」を指導する「スーパーバイザー(SV)」の資質が会社全体の業績に大きく影響を及ぼします。

 

したがって会社の成長を視る場合、店舗数の拡大スピードに、人材の教育が追い付いているかが重要になります。

また、会社の経営にキャリアパスプランまで含めた人材育成のシステムがビルトインされているかどうかを確認する必要があります。

 

中小規模のフードビジネス(外食産業)経営会社自体は、③の収益性と、④の人材教育を経営課題にあげる会社が多いのですが、証券会社のアナリストを含め、金融機関、新規取引など外部の方々は、4つの視点で会社を評価(チェック)してきます。

「外食産業」の特徴として、この業界は①参入障壁が低く②開廃業率とも高く浮沈みの激しい「業界」であることを、外部の方々のほうが強く認識していることを忘れてはいけません。

 

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