中長期経営計画を単年度予算に落とす場合に経営者は

一般的に代表的な「マネジメント・システム」と言えば、①「中期経営計画」、②「予算管理」、③「目標管理制度」の3つがその順に導入率が高い結果が出ています。

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まず、「中期経営計画」「予算管理」に関しては、概ね大半の企業が何らかの形で連携を取っています。

「中期経営計画」は「経営戦略」を反映した将来に向けての目標であり、これに「予算」という「実行プログラム」を組み込んでいるのは至極当たり前なのかもしれません。

 

しかし、ここでの問題点は、「中期経営計画」も「予算」もあくまで経営資源配分の「計画」に過ぎないということです。

勿論、「中期経営計画」や「予算」の中でも、経営資源の投入対象と投入量を明確に示し、その結果として得られるであろう期待値(成果)もきちんと示し、管理している企業はあるでしょう。

しかし、多くの中小規模のフードビジネスにおいては、期待値(成果)という指標は、売上高や市場シェア、投資利益率(ROI)といった一般的な財務指標(成果)で表現されていることが多いと思います。

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会社の従業員たちが、どのような行動を取り、どのような業務を目指すのかは、「中期経営計画」や「予算」では表現することが難しいと言えます。

そのため、財務指標(目標)を、人材育成管理やブランド管理などの「目に見えない資産管理システム」として並行して可視化(評価)できる仕組みが必要です。

 

さらに、「予算」を中長期的に計画したはずなのに、単年度「予算」という目先の損益計算書に置き換わりすぎると、戦略的な情報が失われてしまいます。

中小規模のフードビジネスにおいては、多くの会社は予算制度の中心に損益計算書を置いています。

「予算」を立案作成する場面でも、予実差(予算と実績に乖離)を評価する場面でも、予算損益をどう改善したかが最優先の判断基準になっています。

 

しかし、「単年度」の損益予算には評価できないものがあります。

例えば、設備投資費予算や研究開発費予算などは、損益計算書の枠組みから外すなどの工夫も必要で、実際に多くの会社で行われています。

すなわち、「中期経営計画」を単年度予算に落とし込むときに、損益計算書では評価できないものが軽視されてはいけません。

 

情報システムの整備に対する投資、従業員教育に対する投資、企業ブランドを高めるための投資など、単年度で成果が目に見えない投資対象をどう見ていくかが、経営戦略上の重要な要素となってきます。

このような投資対象に対する支出が過小評価されたり、単なる損益計算書で評価されては、それは「予算」制度の弊害になりかねません。

こうした弊害を避けるためにも「予算」とは、中長期的な成果を期待する支出については、従業員評価の短期的な損益計算書から切り分け、その支出予算枠をどう会社として見ていくかが非常に大切です。

 

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