フードビジネスにおいて新規業態が黒字化したからといって
専門のアナリストたちは、収集した情報を基に、その企業(会社)の大まかな分析を行います。
前回、掲げた12項目の内、やはり「財務の視点」は非常に重要となります。
決算書類の見方や財務分析の公式などは多岐に渡りますので、ここでは割愛し、基本的な考え方だけを示します。
財務分析は、通常「収益性」「成長性」「安全性」の3つの面から行います。
最近は「生産性」も付け加えられる場合もありますが。
その会社の「強みと弱み」という特徴を明らかにするには、主に2つの比較が必要です。
1.3期以上の推移で比較分析すること
2.業界平均や同業他社と比較分析すること です。
業界平均の経営指標などは、中小企業については中小企業庁のサイトの「中小企業実態基本調査」のデータをエクセルなどでダウンロードすることが可能で、ご参考にされてみてください。
まず「収益性」ですが、
「収益性」は利益率の高さでみます。
総合的には、投下した資本に対する利益の比率である「資本利益率」でみますが、
売上高に対する利益の比率である「売上高利益率」をみるのが一般的です。
利益には売上総利益(粗利益)、営業利益、経常利益、当期純利益などがありますが、それぞれの利益の出方の特徴が現れます。
当期純利益が赤字で長く続いているような場合は、「累積損失(当期未処理損失)」の額が大きくなっています。
「累積損失」があると、株主配当が出来ず、会社はステークホルダーの株主に報いることができません。
そのため、「累積損失」は(株式上場までには)解消することが望ましいので、解消の時期の算段(チェック)が大切です。
「累積損失」が更に続き膨らんでいくと「債務超過」に陥る場合があります。
「債務超過」とは、貸借対照表で、「負債(簡単に借金)」の総額が「資産(簡単に財産)」の総額を上回る状態のことです。
投資が先行する研究開発型の会社などは、製品開発に成功するまでは売上が立たず、資本を食い潰していきますので、「債務超過」に陥る可能性があります。
「債務超過」になると信用力が著しく低下して、資金調達や取引が困難になるために「倒産」のリスクが高まってしまいます。
中小規模のフードビジネスにおいて、複数の業態を持つ場合、コア業態は好調で新規業態は赤字というケースがよくみられます。
その原因と対策は別にして、複数の業態の合計は黒字ですが、新規業態だけを注視しないと将来の事業リスクが高まります。
また、新規業態ですから数年かかってやっと黒字化したというケースが多いと思います。
たゆまぬ努力で軌道に乗せ、単年度を黒字化したことは非常に喜ばしいことですが、「累積損失」を従業員もしっかり把握できるようにしておかなければ、新規業態を立ち上げるたびに最初は赤字、のちに黒字が当たり前になってしまいます。
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【新着情報】2016年12月6日